Ruler：夢を追い続ける男

誰もが夢を叶えられるわけではない――それでも私たちは夢を追い続ける。そして、eスポーツの競技者ほど絶えず夢を追い続けている人は少ない。

LoL Esportsの世界では、ほぼすべてのプロゲーマーがいつか大きな舞台に立ち、トロフィーや称号を獲得することを夢見ている。パク・“Ruler”・ジェヒョクは、2017年に彼と彼のチーム、Samsung Galaxy（現在のGen.G）がSKT T1を破り、ついに「世界一」の称号を手にした時、その夢を現実のものとした。

しかし、Rulerにとって彼と同じように頂点を目指す多くの者にとって、一度夢を現実にするだけでは満たされなかった。最高の山を登り終えた時、あなたは何をするだろうか？答えは一つ。さらなる高み、次の頂を目指すことだけだ。

RulerのLPL（League of Legends Pro League）での成長

RulerはGen.Gと共に世界選手権を制覇した後も、国内シーンで確固たる地位を築いた。キャリアのほとんどをチームで過ごした彼が、2022年末にJD Gaming（JDG）へ移籍し、LPLで新たな挑戦を始めたことは、当時多くのファンや関係者を驚かせた。しかし彼は「自身の殻を破り、Gen.G以外でもその価値を証明したい」と語った。

「自分自身を証明し、認められるためには、チャンピオンシップでの勝利以上のものは何もないように感じた」と彼は語った。

そして、彼はそれを証明した。RulerはJDGの旗の下で2つのLPLタイトルと自身初のMid-Season Invitational（MSI）タイトルを獲得し、完全に新しい環境に適応するだけでなく、新天地で成功を収めたことを証明した。

「LPLとLCKではプレイスタイルに明確な違いがある。」とRulerは語った。「LCKのチームは、マップローテーション、プレイメイク、そしてチームとしての動きにおいて、より厳格だ。彼らはゲームにおいて自分たちの『ターン』が来た時に、徹底的に有利に立ち回り、相手の『ターン』を尊重し、ゲーム内の『ターン制』ルールに従う。しかしLPLでは、ミスプレイやポジショニングのわずかなミスも逃さず罰しようとする傾向が強い。彼らはより積極的に小競り合いをしたがる印象だ。」

「このことが非常に明白だと感じたのは、アジア競技大会で韓国代表チームとしてプレイした時だ。同じ屋根の下で全員が練習をしていた時、LPL出身のKanaviと私（Ruler）は、LCKの他4選手（Zeus/Faker/Chovy/Keria）とは異なる視点でゲームを見ていたことに気付いた。その時、私は自分がLPLのスタイルの違いに大きな影響を受けていることに気づいた。」

 「私にとって、Gen.Gは常に、そしてこれからも、家のような存在だ。」

Rulerは、Gen.Gへの復帰は「すべてが最高の形で一致した結果だ。」と語った。

「正直なところ、Gen.Gに戻れるとは思っていなかった。私が去った後、チームはたくさんの優勝トロフィーを獲得し、特に国内で素晴らしい結果を残した。その結果、多くの国際大会でLCKの第1シードとして出場することになり、国際大会の結果は国内大会の結果に比べると見劣りするが、彼らが成功したチームであったことは間違いない。」とRulerは語った。

Rulerは笑いながらこう付け加えた。「同時に、私もLPLのタイトルとMSIのタイトルを獲得したことで、彼らが私なしではもっと悪い結果になることを願っていた部分が心の奥底にあった。彼らがとてもうまくやっている姿を見て、とても嬉しく感じた。彼らの成功があり、私がチームに戻れるとは正直思っていなかったが、全ての星が正しい位置に並び、再びここにいられることを嬉しく思います。私にとって、Gen.Gは常に、そしてこれからも、家のような存在だ。」

Rulerは2025年に27歳を迎える。彼はLoL Esports界で最もベテランにあたる現役プロゲーマーの一人であり、彼がGen.Gと3年契約を結んだニュースは、多くのファンや専門家に大きな驚きを届けた。しかしRulerにとっては、故郷に戻る明白な選択だった。

「現時点で私のプロキャリアは、あと3年ほどだと考えている。」と彼は言った。「だからこそ、Gen.Gの複数年契約は私にとって非常に魅力的だった。しかし、決して『ありえない』とは言わない。もし3年後もプレイの調子が良ければ、間違いなくプレイを続ける。結局のところ、結果は私だけでなく、組織にとっても重要なことだ。Gen.Gは、結果に応じた魅力的なインセンティブも提示してくれるし、それを達成する自信が私にはあるので、彼らと契約しない理由は見当たらなかった。」

Rulerの成功の定義

客観的に見て、Rulerは真に競技リーグ・オブ・レジェンドで『成功した』と言える数少ない選手の一人である。なぜなら、彼はほとんどのプロ選手が最終目標とするものを達成しているからだ。しかし、成功とは一体何なのだろうか？それを達成することは、夢を叶えたと言えるのだろうか？

「現時点で私には、目標や、優勝したいと思わせる特定のものがないんだ。」とRulerは語った。「それは今、私がただやっていることになっている。人が夢を見るとき、別の日の夜に同じ夢を見ることは難しい。サモナーズカップを掲げた瞬間は、まるで夢から飛び出したような瞬間で、できる限り何度も追体験したい瞬間だ。結局のところ、すべてのプロゲーマーは優勝を目指している。私もそうだったし、今もだ。けれど、誰もが同じ夢を追いかけているからこそ、優勝することが成功を定義付けるものだとは思わない。」

少なくともRulerにとって、サモナーズカップを掲げることは、一部に過ぎなかった。ある意味、夢を追いかけることこそが、それを真に価値あるものにするのであり、ほとんどのプロゲーマーは、一度達成しただけでは満足して過去の栄光に安住しようとはしない。勝利を歓喜する瞬間は、一生にとって十分ではないんだ――彼らはそれをまた味わいたいと思っているんだ。

「私が考える成功の定義は、今の自分を形作るために学んだすべての教訓だ。」とRulerは語った。「当時、私はただLeague of Legendsが大好きな子供で、社会の中で正しく機能する大人になるために、それが何を意味するのか、何をする必要があるのかを知らなかった。確かに、学校や会社とは異なる環境だから、多くの人は、そんな場所に比べて学ぶことがはるかに少ないと思うかもしれない。私はその意見にも同意はするが、プロとしてのキャリアを通して、社会で大人になることが何を意味するのかについて、多くの教訓を学んだ。そして、そのような教訓は他のどこでも再現することはできない。」

「ゲーム内の知識をすべて得ることから、より良いパフォーマンスを確保するために肉体的に自分自身の世話をするためのステップを踏むこと、そして、自分が好きなことをしてたくさんのお金を稼ぐことまで、それらはすべて私の成功の定義に当てはまるんだ。だからこそ、目標を達成できなかったとしても、それは失敗を意味するわけではないと私は信じている。もしあなたが何かを学んだのであれば、あなたは成功を収めたということだ。そして、そのような成功は、最終的にあなたの夢につながると私は信じている。」

Rulerはついに2025年、LCKに華々しい復帰を果たした。今後の展望について、彼は2016年にデビューした頃の少年のような気持ちを再び感じたが、目標は当時とは異なると語った。

最初にデビューした時、「目標は世界大会に出場し、最終的には優勝することだ。」と彼は語った。「2年ぶりにLCKに戻ってきたことで、Gen.Gの一員としてLCKで再び競争することは、まるでデビューをもう一度するような気持ちだ。緊張を感じるが、新人時代に感じた興奮を思い出す。おそらくそれが、今年強く世界大会でまた優勝したいという気持ちにつながっているのだろう。今年は目標がある。私の試合を見ている全ての人に、楽しんでもらいたいと思っている。『Gen.Gの試合はどれも素晴らしい試合ばかりだ。次の試合はいつだろう？またGen.Gの試合を見るのが待ちきれない。』そう思ってもらいたい。私の試合を見て興奮してもらい、ファンになってもらいたいと思っている。」

2025年のLCKシーズン開幕を目前に控え、全ての人にとって新たな始まりのシーズンとなりそうだ。そして、LCKの競争がこれまで以上に激しくなっている今、Rulerが再び夢を追いかけるために、今度は故郷の地で、できる限りのことをするのは間違いない。彼がそれを掴み取ることができるかどうかは、時が経てばわかることだ。